今回は心理学を生かしたスキルアップの方法について書いていきたいと思います。
エンジニアの世界でも、キャッチアップが大変な時期はよくあると思います。
- 駆け出しの時期
- 新しいプロジェクトへの参入したばかりの時期
- 新しい技術を習得する時期
むしろこういう時期にいかに効率よくスキルを身につけ、活躍できるようになっていくかがエンジニアとしての醍醐味ではないでしょうか。
そこで今回は以下のような方を対象に、心理学 ー 特に認知心理学を参考にしたスキルアップ方法について説明していきたいと思います。
- これからエンジニアの仕事をするので、スキルアップの参考にしたい
- 新しいプロジェクトに参入するので、早くキャッチアップしたい
- 色々な技術を勉強したいので、もっと効率良い勉強方法を身につけたい
では早速見ていきましょう。
頭が一杯になるは、人間の短期記憶には限界があるから
エンジニアの世界でも、以下のような状況で頭がパンパンになるのは、よくあるのではないでしょうか。
- 新規参入のプロジェクトのため、該当のITシステムの仕様や全体像の把握に時間がかかり、問題解決や作業に四苦八苦してしまう
- 駆け出しエンジニアで、基本的な設計書の書き方などが分からず、調べながら進めるので時間がかかってしまう
しかし仕事に慣れてくると、色々なことが容易くなってきます。
仕事に慣れた時、脳内の状態はどのようになっているのでしょうか?
そのために、人間の短期記憶の仕組みについて説明する必要があります。
まず、人間の短期記憶には格納できる情報数に限りがあり、5〜9つと言われています。
コンピュータに例えると、短期記憶はスロット数が8つぐらいあるメモリーようなものです。
詳細な短期記憶の解説は別機会として、要はこの各スロットに情報の出し入れが行われています。
そのため、覚えることが沢山ある状況では、メモリスロットが簡単にオーバーフローして、頭がパンパンになってしまいます。
では、どうすれば良いか?
それを理解するためには、各メモリスロットの容量は増やせると言うことを理解する必要があります。
人間の短期記憶は、各メモリスロットの容量を増やせるようになっている
人間の脳ではコンピュータのようにメモリスロットの増設は不可能になります。
つまり、仕事に慣れたとしても短期記憶のスロットが増えているわけではないのです。
では、どうなっているのか?
それは、仕事に慣れた人は、メモリスロット数は増えていないものの、各スロットに入る情報容量が増えているためです。
もう少し厳密なイメージで言うと、長期記憶に入っている膨大な情報の束を、1スロットのみで芋づる式に読み出す仕組みになっています。
これがコンピュータとの大きな違いです。
人間の短期記憶は、1スロットに読み込める情報量をトレーニングによって増やすことが可能なのです。
そのため、仕事に慣れた状態というのは、膨大な情報を各スロットで握っておくことができるので、オーバーせずこなしていけるのです。
スロット拡大法により、効率よく仕事のパフォーマンスを向上させられる
そこで提案するのはスロット拡大法です。
先ほど、人間の短期記憶は各スロットの容量をトレーニングで増やせるという話をしました。
身近な例を言うと以下があります。
- スピーチの練習で、最初は原稿の1段落ごとに原稿を見ていたが、最後は原稿を見ずに通しで話せるようになる
- 楽器演奏で、最初は楽譜を1行ごと見ながら演奏していたが、最後は楽譜を見ずに通しで演奏できるようになる。
そして、これをエンジニア業務にも生かしていくことができます↓↓
エンジニアにおけるスロット拡大法の例 <階層の深いソースコードを解析する能力> ・階層の深いソースコードを読んで把握する作業は最初は慣れない作業になる。 ・そこでソースから引数とその戻り値の関係を探したり、階層関係の表現パターンを習得していく訓練を積む。 ・最初は、1階層毎に階層関係を紙に書いて整理していたが、訓練を重ねる事によって3階層を通しで把握できるようになる。 <新規参入したプロジェクトのキャッチアップ> ・新しいプロジェクトのITシステムについて、最初はせいぜいモジュール毎の処理内容しか頭に入れられない。 ・そのため、システム間の連携を把握する事によって対処する問題は解決できない。 ・そこで、システムの把握をサブモジュール単位 → クライアント/サーバー単位 → システム全体という単位で把握できる範囲を拡大していく
もちろん、仕事量をこなしていけば自然とスロット容量は拡大させることができると思います。
しかし、短期記憶の性質を意識したスロット拡大法を取り入れていくことで、より効率よくスキルアップが可能になっていくでしょう。
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